甦った時計たち | いつもの修理時計の記載はこちら |
さとう時計店に持ち込まれ甦った時計たち6点を紹介をします。
2007年1月26日 ウィーン式小型振り子時計。1840〜50年頃、グラハム脱進機、8日巻 |
かなり古くて珍しい構造の掛時計を修理しました。時計修理の詳細です
ドイツのオークションで7年位前に落札されて動かないので東京の時計店で修理を
したが動かず、すぐ止まるので修理をお願いしますとの事でお預かりしました。
まず、分解してみると下の写真のように2番下ホゾが摩耗していましたのでホゾをカットして穴を明けて 新しくホゾを作りました。そしてホゾ穴の摩耗した部分をカシメて正しい大きさ及び正確な位置決めをしました。 |
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それから一番下芯(写真2)が少し長くて振り竿に当たる可能性(当たった形跡あり)があるので0.6mmくらい短くする。いよいよ組み立て中に分かったのが時針車受けネジがバカになっていたので別作する。 |
組み立てが終わり試運転をしてみると振り子の調整ネジを一番下げても 1日に20分位進む事が分かり 新しくフリベラを交換したがまだ5分位進むので8回にわたりフリベラを薄く削ったが まだ3分進む・・・・・・・ 仕方がないのでフリベラ下金具(真鍮製)(写真3)を5mm位長く別作してテストをしてみた しかし・・ やはり90秒くらい進むので振り玉の下にあるスペーサーを削りやっと合うようになる。今日現在10秒以内に収まっている。 150年以上前の時計としては驚異敵な正確さだ。たった500グラム(約玉子10個分)の重量で動くように設計されていて各歯車のホゾ(芯)の直径は懐中並みだ。 それと振り幅はグラハム脱進機(直進脱進機)だと言うことで しかし、振り子式時計は振り幅が小さいほど理論上、正確に動くのでしかたないが・・・ |
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ウィーン式小型振り子時計。1840〜50年頃、直角の真鍮地板、グラハム脱進機、 8日巻きムーブメント、重り1つ(500グラム)、鍵は欠損、振り子に片振り微調整、 磁器文字盤、クルミ材ケース3箇所ガラス張り80*29*12cmWZ/GZ2 |
解説:グレハム(直進式)脱進機(デッドビート)とは グレハム(直進式)脱進機は1715年にジョージグラハムによって発明され、 動きが止まっていると言うのはガンギ車の歯がパレット(アンクル)に落下した後、 ガンギが後戻りせず、とにかくとどまったまま動かない、 それはパレット面の曲面(円弧)がパレット軸を中心として作っている事による。 以上で直進式という名はグラハム自身かメーカー、製作者が付けた名と思われる。 |
2004年12月久しぶりに素晴らしい懐中時計を修理しました
この懐中時計は神奈川県の方の依頼品で「PATEKPHILIPPE&TIFFANY」のダブルネームの素晴らしい懐中時計でした。 この時計をオーバーホールをする時 非常に難しい部分があります。 一番受けから香箱を取り外す事です。 |
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これはおそらく専用工具が必要だと思います。私は工具を別作して外しました。 以前、修理した方がこの部分を分解せずに修理をしていました。香箱内や一番受け穴に全然油がありませんでした。 ですからゼンマイを巻く時に非常に重かったです。このまま使用していると一番受け穴が摩耗して時計の寿命が短くなったでしょう。 |
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2003年6月新着時計ではないですが福山誠之館高校の歴史的資料として天球儀と三球儀の修理を完了しました
ミニッツ・リピーター(スイス・バルカン社製)110年〜120年前の懐中金時計 |
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<<ミニッツリピーターとは>>ボタンを押すと、その時の時刻をチンチンと音で知らせる時計です。
日本語では「引き打ち」と、言いますが 今は「ミニッツ・リピーター」と言われてます
これはミニッツ・リピーターと言う110年〜120年前の時計で、スイスのバルカン社製です 外装は14金で写真の左側面にある爪を「グイ〜」と、引っ張ると音で時間を知らせてくれます。
新品の同種の金時計の価格を見て、ビックリ ナ・なんと1200万円とか2100万円の価格が付いている。 どんな音か聞いてみてください 1.2時32分 ステレオ 128ビットMP3 180キロバイト 音の解説 最初、チンと2回鳴り(2時を示し)、次にチンカンが2回
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機械の外周にチャイムが仕込まれていて、左側面の爪を下に引っ張るとチャイムが鳴り、時間を音で知らせてくれます |
「動かない時計を預かっているわけだから、内部構造を見て、どういう仕組みで
何時何分を 刻打するのかまず解析をした。「引き打ちの理屈がわかるまで1週間掛かったよ〜」
その後、4ヶ月かかって、無くなっている部品をいくつか手作りして修理に成功しました。
この種の時計の修理を依頼されたのは初めてでしたが、NHKや雑誌サライで評判を聞いた人が、
どこに出しても直らなかった時計を、佐藤さんに続々修理を依頼しています。引き打ちだけでも最近
4個の修理依頼がありました
つぎは
クォーターリピーターと言う、金時計です。
こちらはトリップタイマーが付いた機種で 文字盤はホウロウ仕上げ、外装は金が使われています。 同じく、時間を音で知らせてくれます。 1.4時45分 ステレオ 128ビットMP3 118キロバイト MP3形式で173キロバイトあります |
これも、先ほどのミニッツリピーターと時を同じくして持ち込まれた逸品です。
これはさほど手間は食いませんでした(上記ミニッツリピーターで時計の仕組みが良くわかった)
そして
この時計は ウォルサム・ハンター型と言われる銀時計です。 裏蓋がこのように開けられます 音は出ませんが ゼンマイの奏でる、音を聞いてみてください。MP3形式で 82キロバイトあります |
そして今回もの凄い時計が持ち込まれました。
「グランド・ファザー・クロック」
高さが2.2メートルもある、およそ100年前。 明治時代のドイツ製の置き時計です 佐藤さんの身長が163cmですから その大きさが良くわかります。 持ち込まれた時は、駆動用の「重り」が朽ち果て外装はボロボロ 見るも悲惨な状況でしたが、アメリカの今でも手作りしているメーカーから ケースを取り寄せ、 駆動用の重りを全体の構造から推測して重さを割り出し手作り。 さらに真ちゅうの振り子や チャイムも磨き上げて修理を完了しました。 まるで芸術品のような置き時計です。 この種の置き時計を「グランド・ファザー・クロック」 つまり おじいちゃん時計とでも訳すのでしょうか? 15分おきに色々なチャイムを響かせます。 15分チャイム ステレオ128ビット 374KB 30分チャイム ステレオ128ビット 501KB |
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ついでに 「大きな古時計」と言う曲にまさにぴったり。と言うことで歌詞と、MIDiファイルを置いておきます。
「大きな古時計」 作詞:保富康午 作曲:ワーク | My grandfather's clock was to large for the shelf, |
★大きなのっぽの古時計 おじいさんの時計 百年いつも動いていた ご自慢の時計さ おじいさんの生まれた朝に 買ってきた時計さ 今はもう動かない 古時計。
*百年休まずに チク・タク・チク・タク
★何でも知ってる古時計 おじいさんの時計 おじいさんと一緒に チク・タク・チク・タク 今はもう動かない その時計
★真夜中にベルがなった おじいさんの時計 |
My grandfather's clock was too large for the shelf, So it stood ninety years
on the floor; *Chorus And in childhood and manhood the clock seemed to know,And to share both his grief and his joy. For it struck twenty-four when he entered the door,With a blooming and beautiful bride. But it stopp'd short, Never to go again,When the old man died.. *Chorus It rang an alarm in the dead of the night,And alarm that for years had
been dumb; *Chorus |
このあと、平井堅が歌を歌って リバイバル大ヒットになったのも・・・・ずいぶん古い話になりますね・・・(笑)・・・2010年 補足